レールを降りることのススメ(inspired by たぬきちの「リストラなう」日記)

出版社のリストラに応募し、その内容をかなり赤裸々に語っている「たぬきちの「リストラなう」日記」を購読していて、「たぬきちさん頑張って!」といつも陰ながら応援している。
このブログは、(意図的だと思うけど)かなり重いテーマであるリストラという話題が、軽い口調で書いてあって楽しい。詳細は読んでもらった方が早いので読んでみてください。

で、5/12のエントリリストラなう!その29 何もかも逆だった - たぬきちの「リストラなう」日記の「■首切りをもっとやれ」というセクションが、まさに僕が思っていることと一致していたので引用。

城さんの本は処女作『内側から見た富士通成果主義」の崩壊』からずっと読んできた。はっきり言ってファンだ。だが、やはり彼の主張を丹念に追うと、最後のところでついていけなかった。成果主義をやるなら本当にやれ、首切りをやれ、もっと雇用を流動化させて、首を切られても再び職に就けるようにしろ、という彼の主張(たいへん荒っぽいまとめ方ですみません)。

自分が正社員である場合、彼の主張に心から賛同すると、正社員である自分を否定することになってしまう。だから城さんの本を読むのは楽しみだったが、いつも強いストレスがあった。

この感覚、前々職の調査会社を退職する前の僕と重なる。今レールに乗っているけどそこはかとない不安を感じている人は、たぬきちさんのように感じている人は多いはず。

だが今は、素で読んで楽しい。彼の主張する世界が実現すれば、リストラなんて怖くなくなるはずだからだ。職を失っても、また職を得られる世界。これが究極のセーフティネットじゃないか。

「正社員の雇用を守れ」というのは、「その他の者の雇用はどうでもいい」と言ってるのと同じだ。「派遣を切るな」というのは「いま職のない派遣はずーっと職のないままでいろ」と言ってるのと同じだ。
これから失業する身の僕は、腹いせとかやけくそとかではなく、「もっともっと首を切ろうよ」と思う。みんな一度失業して、もっかい新しい仕事に就き直せばいいんだよ。

うんうん、そうそう。全くその通りです。今後の日本社会は、雇用が流動化してレールを降りても次のレールに乗れる社会を目指さないと。格差社会って本当はここから生まれてるんだよねぇ。

ということで僕も、今後のキャリアに不安を感じている人は、今のレールを一度降りることを薦めます(もちろん自己責任で)。企業ももっとリストラしていい。そのかわり政府は一時的でもいいので金銭的なセーフティネット(BIなのか?)は必要だけど。

ところで、コメント欄に以下のようなコメントがあって、雇用流動化についての反論で日本人のメンタリティ云々というのはよく見るけど、これについては異論がある。人のブログのコメント欄にツッコミをいけるのもどうかと思いつつ。

しかし人材の流動性向上と言っても、米風の何時でも首切り&キャリアアップ=転職というシステムが日本人のメンタリティに合うかと言えば疑問です。

終身雇用を望む人が増えているという調査結果があるのは知っている(たとえばこういう調査結果とか)。ただこれはそもそも、回答者には、今の終身雇用・年功序列の日本型雇用が現実的に見えていて、雇用が流動化した社会はまだ実現されていないから具体的なイメージが湧かない、というバイアスがかかった状態での調査結果だと考えるべき。つまり

(今の日本型雇用のスキームが維持される前提で)あなたは終身雇用を望みますか?

という見えない前提条件があった上での、終身雇用志向だと思う。この前提を考慮した上でも日本人のメンタリティって言えるのかな?嫌なことがあったら辞めたいと思うのは人情だし、それが転職で解決する世の中なら絶対みんなそうすると思うんだけどな。