公務員の人件費に関わる支出は「短期的」には増えても仕方ない

参院選もちょっと忘却の彼方に去りつつある今(2010/07/21)、かなり時期を逸していますが、公務員の人件費削減と天下り根絶のお話です。結論からいうと僕は、「将来的な」公務員人件費の削減と天下りの根絶には、「短期的に」公務員の人件費に関わる支出が増えるのはやむ無し、と思っています。(予算の専門家ではないので、本当はこういうお金がどこから出てくるのかも良く分かっていないですが)

公務員の人件費削減と天下り根絶は複雑な問題

先の参院選でどこの政党も公務員の人件費削減と天下り根絶を掲げていましたが、これは日本の労働市場にも絡んだ複雑な話で、単純な賃下げや首切りでは上手くいかないです。公務員だって人の子なんだから、何のオプションも無くいきなり賃下げ・首切りなんて受け入れられるわけがない。だったら天下りなんて当然なくならないよと思うわけです。

日本の硬直化した労働市場で、支援なしに公務員が民間に移れるか

で、問題なのが、日本の労働市場流動性が低すぎて人材がポータブルでない点。公務員の人件費を減らし、かつ天下りを根絶するつもりなら、リストラされた公務員がどうやって糧を得ていけるのか、国がビジョンを示し、お金も使うことが必要。つまり、労働市場流動性を高めるとともに、民間に移った人材が独り立ちして働けるように、一部税金を使ってでも再就職支援をすべきではないかと。(この「支援」という言葉が曖昧で気に入らないけど仕方ない)

退職時オプションとして給与の上乗せも

合法的な解雇がタブー視されている日本ではあまり知られていない(僕が知らなかっただけかもしれない)けど、海外でも整理解雇時には就職斡旋や退職金割増でオプションを付けるのが普通らしい。日本でも早期退職制度(を口実にした解雇)で2年分の給与をオプションにする企業もあるとか。これがないといきなり失業者を大量に生み出すことになってしまうのだし、企業と従業員の信頼関係的にも必要な支出だと思います。

天下りは副作用の大きい退職時オプション

公務員についてみると、天下りは退職オプションの歪んだ形といえます。そもそも天下り自体が悪いというより、天下りした先で収益性のない事業で国の予算を浪費することが一番大きな問題。だから、2年以上の給与を退職時に上乗せするオプションにまで踏み込んで、公務員の「天下りでない」民間への流入を支援すべきだと思っています。そのためには税金の一時的な投入も仕方ないのかなと。

ちなみに

僕は市場を重視した「小さな政府」を支持していて、市場に多くを任せ、運悪く落とされた人はセーフティネットでサポートし、何度でもチャレンジ可能な社会が望ましいと考えています。(キレイ事言うのは簡単だけど、解決しないといけない問題が沢山あるのは分かってるつもり)

独り言

雇用とか社会に関するエントリを書くとネガティブな反応も結構多かったり。プロの書き手でない僕は結構落ち込んだりもするので、慎重に書いたつもりですがちょっと怖いなー。